プロ人材活用企業の過去・現在・未来
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製造業
企業DATA
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株式会社
伸和製作所- 企業DATA
- 創業/1986年
資本金/3,000万円
従業員数/42人
本社/枚方市
http://www.shinwapm.co.jp/
事業承継に向けて、後継者を
支えるプロ人材を獲得
事業内容
日本のモノづくりを支える
部品加工のスペシャリスト集団
船舶用ディーゼルエンジンや精密油圧部品の部品加工を手がける企業として創業。その後、印刷機械部品、工業用ミシン部品など、幅広い部品の加工を手がけるようになり取引先も順調に拡大する。2004年には現在の枚方・津田サイエンスヒルズに本社工場を移転。2012年にはベトナムに子会社も設立し、生産体制をさらに充実させている。複数の特許技術を保有し、難度の高い加工にも応える技術力には多くの大手メーカーが信頼を寄せる。
企業紹介
共同開発者として顧客とともに歩み
積み上げた信頼と技術力
同社の技術力の高さ、そしてモノづくりへの真摯な姿勢を伝えてくれるのが、社内に掲げられている賞状の数々だ。「大阪ものづくり優良企業賞 匠」をはじめ、ブリヂストンや不二越などの名だたるメーカーから「技術的課題を解決し、コストダウンにも貢献した」という功績を称える賞状を贈られている。創業から守り抜いてきたコツコツと丁寧な仕事と品質に対する厳しい姿勢が顧客からの信頼につながり、日本のモノづくりを陰ながら支え続けている。
さらなる飛躍へ向けた
ベトナムの工場移転計画
事業拡大に伴い、2012年8月にベトナム子会社の「KSM CO.,LTD」を設立した同社。敷地面積4,230㎡に対して約2,300㎡の工場で本社の生産体制を支えている。現在、そのベトナムでは2019年春の操業開始をめざし新工場の建設を進めている。面積は現在の2倍以上となる敷地面積14,700㎡に対して5,000㎡。スタッフも100人ほどに増やし、稼働力を大幅に高めてさらなる事業拡大をめざす。能美社長が「私の最後の投資」と意気込むビッグプロジェクトだ。
異業種の知識と経験を融合し、
チャレンジし続ける組織へ
新たなノウハウで加工の可能性が広がる
- 能美
- 確か、弓さんは前職の時代から伸和製作所のことをご存じだったんですよね。
- 弓
- そうですね。以前は金属熱処理の会社に勤めていました。不思議なもので、今思うとその時からこの会社とは縁があったんだと思います。
- 能美
- 前職では現場も営業も経験されているので、3年後に私が会社を継ぐ時の組織固めという点では、とても心強い存在です。
- 弓
- 以前は生産現場から営業、品質管理まで各部署をひと通り経験しました。また、海外拠点や合弁会社の立ち上げなどにも携わっていましたので、その辺りの経験を生かしてお役に立てれば幸いです。
- 能美
- 弊社も創業から30年以上が経ち、熟練技術者が抜けていく時期ですからね。どんな事態にも耐えられる組織づくりに向けて今から動いておかないと。ありがたいことにお客様からの引き合いは絶えないので、それにしっかりと応え続けられる体制を築くのが私の役割だと思っています。
- 弓
- お客様からのご要望も、時代とともに変わってきていますし、品質管理に対する見方も厳しくなっていますからね。
- 能美
- そうですね。だから技術的なノウハウも必要ですが、ある程度キャリアを積んで、お客様とのコミュニケーションをしっかり取れる人材が必要だったんです。別の言い方をすると、当社の代表として外に出しても恥ずかしくない人を。弓さんは年齢的にも、過去の経験から言っても、最適な人でしたね。
- 弓
- ありがとうございます。この会社は若い方が多く、入社した時に「活気と勢いがあって、すごくのびしろのある会社だな」と感じたのを覚えています。細かい工程を見ていくうちに「改善の余地があるな」と感じた部分もあるので、そこに貢献していきたいですね。改善の余地があるということは、間違いなくこれからプラスになっていく、ということですから。
- 能美
- 弓さんが前職で培ってきた熱処理のノウハウは私たちの専門分野ではないので、すごく助かっています。何か不具合があったときに原材料の段階までさかのぼって調べてもらえるので、今まで以上に可能性が広がった気がします。
- 弓
- 金属加工においては熱処理が耐久性、耐摩耗性、耐腐食性などを左右するので、その部分の知識が役に立つなら、最大限に生かしていきたいですね。金属は表面的にはわからない内部組織によって強度が変わるので、そこを判断できるとお客様との会話にも説得力を持たせられます。
- 能美
- あと、弓さんは顧客の工場監査の対応なども経験しているので、この先、新しい取引先を広げていく上での折衝にも力を発揮してくれると期待しています。
フランクな社風が
モチベーションを上げる
- 能美
- 前職とは扱う商材や業種が異なると思うのですが、ここに転職するにあたって、その辺の不安はなかったんですか?
- 弓
- 不安というのはなかったですね。確かに業種が違うということで少し構えていた部分はありますが、「品質保証」ということに対する考え方は同じだと感じました。あとは見るもの聞くものすべてが新しいことばかりだったので、逆に好奇心しかなかったですね。
- 能美
- 既存の社員にもうまく溶け込んで、いい関係を築いていますよね。
- 弓
- 最初に、現場の状況を知るために加工ラインの簡単な仕事をさせてもらったんです。そのときに各工程のグループリーダーとできるだけ多く話をして仲良くなりました。飲みに行ったりゴルフに誘ったり、プライベートの付き合いもつくるようにしたんです。
- 能美
- 最初は社内の人脈づくりが大切ですからね。でもこの辺は飲みに行く場所がないので、社員旅行などの会社行事くらいしか機会がないですよね。みんな、ここぞとばかりに盛り上がって、すごいことに…。
- 弓
- 能美さんも、けっこうハメはずしますよね(笑)。そういうフランクな社風だったから、なじみやすかった部分もあると思います。「仕事はしんどくても、みんなで乗り切ろう」という一体感がありますよね。
- 能美
- そうですね。社長も前向きな性格なので、居心地の良い社風になっていると思います。仕事ではみんなにフルパワーで頑張ってもらっているので、若いスタッフのモチベーションを保つ上でも、話しやすい環境は必要かなと思います。
- 弓
- モノづくりの世界は、何が起こるか分からないですからね。何があってもみんなが前向きに取り組めるような組織にしておかないと。
- 能美
- 本当にそうですよね。2012年にベトナムへ進出しましたが、当時と比べてベトナムの人件費は倍増していますし。この先、鋳物の原料を安定的に調達できるかも不透明ですし、外注先の協力会社も高齢化で廃業を考え始める時期にきています。とにかく、何があっても顧客の新しい要望に応え続けられる体制と、自分たちで独自の技術を生み出し続けられる力を身につけておく必要がありますね。
- 弓
- お客さんの方も、職人世代がだんだん少なくなっていって困っていますからね。その辺の技術的なフォローを私たちができれば、この先も必要としていただけるのではないでしょうか。
- 能美
- そうですね。そのためにも、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいですね。社長もとにかくチャレンジすることを大切にしてきたので。そして、エキスパートがそろっている間に、何か自社開発製品を生み出したいですね。
- 弓
- はい。私もずっとチャレンジし続けて、会社の発展に貢献できるように頑張ります。一緒にモノづくりの未来を切り拓いていきましょう。
採用後の主な成果
能美 将英 取締役
3年後に私が経営を引き継ぐことを見すえ、承継後のブレーンづくりの一環として弓さんに入社いただきました。彼は金属熱処理加工の世界で幅広い経験を持っており、その知識のおかげで現場にも新しいノウハウが増えています。金属加工の工程では不具合があったときに原材料のレベルまでさかのぼらないといけない場合があります。そのような時に、弓さんの知識によって一段深いレベルまで検証できるので、品質向上の可能性がさらに広がりました。
能美 将英 取締役
自分が経営から退いた後も
挑戦を続ける風土を受け継ぎ
盤石な組織を築いてほしい。
株式会社 伸和製作所
代表取締役 能美 一夫さん
弊社は私が30歳の時に、当時の鉄工所の仲間4人で立ち上げた会社です。当初は下請けの下請けで、とにかく「何でもやります」と朝から晩まで走り回っていました。おかげさまで取引先様も増えて会社も拡大を続けてきましたが、創業から30年以上が経ち、事業承継が課題になってきました。取引先の担当者も私より若い方が多くなり、あまり私が出しゃばらない方がいいかな、と。それで、私は以前から「65歳で社長を退き、会長職に就く」と公言していたんです。今62歳なので、あと3年ですね。その後は息子が継ぎ、私は会長として別の角度から会社を見守っていく予定ですが、その時に組織を支えてくれる人材が必要でした。製造現場のベテラン社員もリタイアする年齢になっていくので、製造業である程度のキャリアと経験を持ち、将来的に全体をマネジメントしてくれるような人が欲しかったんです。ただ、採用にあたっては、知識やスキルよりも「新しいことを前向きにやっていこう」という姿勢を重視しました。どんなベテランでもすべてのことをオールマイティに知っている人はいませんからね。
実はプロ人材拠点の乾マネージャーとは旧知の仲で、人材のことを相談したらすぐにアドバイザーを紹介してくれました。そして、何社かの人材紹介会社を集めて会社説明会を開いてくれたんです。自分たちで何社も探すのは大変なので、すごく助かりました。
今回、採用した弓さんは熱処理メーカーの出身で、ちょうどよいキャリアの持ち主だと思います。転職して急に会社を変えるというのは難しいでしょうから、3年後の事業承継を見すえて、少しずつ土台をつくっていってもらえれば、と思います。
製造業の世界も時代とともに変化しています。時には無茶なオーダーもありますが、そこに挑戦するから面白いんですよね。今後も、変化に挑戦し続ける風土を受け継いでいってほしいと思います。そして何か自社開発製品を生み出し、そこに私も関わりたい、という夢もあります。既に少しずつ動き出しているのですが、社内で困っていることを解決するような設備を開発しようとベテランの技術者を中心に知恵を出し合っています。うちが困っているということは世間も困っているはずなので、開発した自社製品で社会に貢献できれば、さらにうれしいですね。
※掲載の企業情報は取材時点での情報です